自己のために相続の開始があったことを知った時って?

相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。(民法915条その1部)

この文言について掘り下げてみましょう。

民法には、相続は、死亡によって開始する。(民法882条)とあります。

たとえば一緒に暮らしていた父親が亡くなった場合、その亡くなった時に相続は開始したことになります。(失踪宣告があった場合も含む。)

「自己のために相続の開始があったことを知った時から」という文言は上記の状況にあてはめるなら、あなたにとっての相続は父親が亡くなったことを知り、そしてあなた自身が相続人であることを知った時です。

その時から熟慮期間の起算点が開始し3か月以内に相続の方法を選択しなければならないということになります。

逆に言えば、父親が亡くなったことを知らなかった場合にはまだ「自己のために相続の開始があったことを知った時」とはならないのです。

ここで注意が必要なことは、上記のように熟慮期間はそれぞれの相続人で別々に進行するということです。

 たとえば被相続人に大きな借金などがあって、その相続人Aさんが限定承認か相続放棄を検討している状況で、音信不通だった相続人Bさんとやっと連絡がついたなどといった場合、その相続人Bさんの熟慮期間はそこから3か月以内ですが、相続人Aさんの熟慮期間はもう残されていないこともあり得ます。相続人Aさんに熟慮期間が残り少ない場合、相続方法の選択が間に合わなくなってしまう可能性が出てきます。

こう考えると熟慮期間の3か月以内はとても短く感じますね。

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