遺言書の封印について

 民法条文には「封印のある遺言書は家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができない。」とあります。(民法1004条3項)

ここに「封印のある」という文言がありますが、では、封印をしていない遺言書は無効なのでしょうか。また封印の無い遺言書は検認は必要ないのでしょうか?

 まずは遺言書の封印についてですが、封印はしなければいけないものではありませんし、封印がしていないからと言ってその遺言書は無効ということもありません。

遺言書は紙と筆記用具、印鑑があれば作成可能です。特別なものは何も必要ありません。

もっと言ってしまえば、広告の切れ端や、メモ帳の切れ端などに、鉛筆で書いて三文判の押印(実印でなくてもOK、さらに指印でもOKなのです。)があれば遺言書になります。というわけですから封筒に入れなければならないものでもない訳です。

ただし封筒に入れて封印をする事によって遺言内容の秘密は守られますし、改ざんの防止にもなりますから封印をすることのメリットは大きいと考えられます。
さらに・・・色々とトラブルのもとになりますので、きちんとした素材の物を使用し、少なくとも鉛筆書きは避けたほうがよいですが・・。

 封印の無い遺言書でも検認は必要なのか?という問いには、家庭裁判所での検認が必要であるというのが答えです。

たとえ封筒に入っていなくて封印もされていない、裸の紙一枚にぺらっと記された遺言書であっても、たとえ中身が丸見えであったとしても検認は必要なようです。

理由は遺言を執行するためには「検認済証明書」が必要になるからです。その証明書は相続登記などの遺産相続手続きをする際に必要になります。
検認はその「検認済証明書」を得るためにする必要があります。

 ちなみにですが、検認せずに思わずその場で遺言書を開封してしまったからと言って、その遺言書が無効となったり、開封した人が相続人から除外されるようなことはありません。ですが・・・それは法律違反ですからね。

・・・実は遺言の方式には自筆証書遺言や公正証書遺言、秘密証書遺言など以外にも様々あって、例えば、沈みゆく船舶内でされる遺言や飛行機内でされる遺言(危急時遺言 民法976条)や、伝染病などに罹患して隔離されている状態でする遺言(隔絶地遺言 民法977条)などがあります。

何が言いたいかというと、生命の危機にさらされた時、とにかく何か残したい、伝えたい。故人はそんな思いで遺言書を残したことでしょう。
故人が、自身が亡き後に残された人を想い、この世に残した最後の遺言は、たとえ封筒に入っていなくても、封印されていなくても、それがメモに走り書きされたモノであっても、その想いを尊重し取り扱うべきものが遺言書というものではないか、と私は考えます。

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