家庭裁判所の検認はすべての遺言書に必要なの?

故人が書いておいてくれた遺言書が引き出しの奥から見つかった時には、すぐに開封せず家庭裁判所に検認の申し立てをして、裁判所で相続人の立会いのもと開けなければいけないことを前回までにお伝えしました。

でも、すべての遺言書に検認手続きが必要なわけではありません。

前回の記事で「遺言の方式」にもいろいろなものがある事を少し書きました。
特殊な遺言方式はさておき、一般的な遺言の方式は、自筆証書遺言と公正証書遺言、もう一つ秘密証書遺言というものがあります。(民法967条)
この遺言の方式でそれぞれ検認手続きが必要なのかどうか見ていきましょう。

※自筆証書遺言(民法968条)は、いわゆるドラマなどでもよく見かけるもので、遺言者自ら自筆で書いてする遺言の方式です。引き出しから、ふと発見される、いわゆるあれです。
一番イメージしやすい遺言方式ですね。
これは検認が必要です。
ただし、自筆証書遺言でも法務局に遺言書を預かってもらう保管制度(2020年7月10日より開始されました)を利用している場合には検認は不要となります。(この制度についても後日書いてみましょう。)

※公正証書遺言(民法969条)は遺言者が公証役場に出向いて、遺言者が口授した内容を公証人に書いてもらう遺言方式で、証人2人の立会いのもとで行われます。また詳しく書こうと思いますが公正証書遺言は作成すると公証役場に遺言書が保管されます。偽造変造の可能性が無く検認の必要はありません。

※秘密証書遺言(民法970条)は、遺言書の内容を秘密にしたいときに作成されます。自身でそっと書いた遺言書を公証役場に持参し公証人と2人の証人の立会いのもとで「遺言書が存在している事だけを」証明してもらい、自宅に持ち帰って本人が保管します。遺言の内容は「誰にも・・」知られることはありません。やはり、これも検認手続きは必要です。

何となくわかってきましたが、検認手続きが必要か否かのポイントは公的な場所で保管されているか、いないかにあります。

検認手続きは、その遺言書が法的に有効か無効かを判断するものではなく、一番の狙いはその遺言の内容の偽造、変造を防止することにあります。
遺言書が公証役場や法務局など公的な場に保管されている場合には偽造、変造の心配がないため検認手続きは必要ありません。
逆に公的な場所で保管されていない場合、遺言書は故人の元にあり、もしかしたら誰でも手に取れる状態だったかもしれません。偽造、変造がされる可能性が残ります。それを家庭裁判所で検認の日現在で「遺言書が存在しましたよ、これが遺言の内容ですよ、皆に知らせましたし見る機会を与えましたからね」と確認することによって、その遺言書を公的に確定する手続きなのです。

検認は、相続人全員に連絡もしなければなりませんし、相続人が関心があれば裁判所に出向く事になるでしょう。そのために費用も時間も取られます。
もちろん検認の申し立てそのものにも費用は掛かります。
お葬式後にやっとほっとしたと思ったら、またバタバタと始まってしまうのかもしれません。

遺言書を残そうと思ったときには、いろいろなことを考慮し、自分に一番合った遺言の方式を選択することは最優先事項だと思います。そのためにも遺言の形式を知ることは大切なことです。

その形式を学んだ時に、検認という手続きをしなければならない事を知ったのなら、あとに残された人の負担を減らすような選択を考えてみることも優しさかもしれませんね。

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