秘密証書遺言が現在あまり利用されない理由
秘密証書遺言のメリットは、まずは遺言内容が誰にも知られないという事でしょう。そのうえで、公証役場で手続きすることによって、遺言の存在とその遺言書が間違いなく遺言者のモノであることを証明してもらうことができます。
自身で遺言書の原本を保管することになりますが、封印されているので偽造や改ざんの心配もありません。
公正証書遺言を利用するよりも費用も安価で済みます。
遺言の内容を記す方法も自筆でなくても良くパソコンで書いても構わないというところが現代人にはうれしいメリットです。
秘密証書遺言は、自筆証書遺言と公正証書遺言の中間的な存在の遺言方式と言えるでしょう。
・・・何となく、よさそうな遺言方式に思えますが現在ではほとんど利用されていないそうです。その理由はなんでしょうか?
見ていきましょう。
まず・・・自筆証書遺言についてご紹介したときにも記した事ですが、秘密証書遺言も遺言者が自身で内容は記すため、民法の知識無く記してしまうと法的要件を満たさず「遺言が無効になってしまう危険がある」という事です。
秘密証書遺言はその性質上、内容を誰にも確認してもらえないため不備があった場合でも指摘してはもらえません。
「自筆証書遺言が無効になってしまうケース」でもお伝えしたような法的不備があることで遺言書が無効になってしまい、その結果一番目指すべき目的である「遺言内容の実現」ができなくなってしまうようでは、いくら遺言の内容を秘密にできるからといって、それがメリットになるとは言えません。
それでも秘密証書遺言をあえて選択する理由としては「内容を誰にも知られたくない」「でも、遺言の存在と間違いなく自身の遺言である事を担保したい」という希望の表れなのでしょうが、公正証書遺言を利用したときのように専門家にお願いすることで遺言の法的要件に沿った間違いない遺言を作成できるというメリットは失われてしまいます。
そのうえ、秘密証書遺言をするには公正証書遺言をするときと同じように証人二人を手配しなければならず、その場合にはお礼も必要になる事でしょう。
いくら公正証書遺言を作成するよりも安価だといっても、ちょっともったいない気もしますね。
そして、遺言書の原本は自分で保管する必要があるため「紛失してしまう可能性がある」または「発見者に隠されてしまう」という可能性があることもデメリットの一つでしょう。
さらに、いざ遺言者が亡くなった時、その遺言書を開封するには家庭裁判所の検認が必要となります。
公正証書遺言を選択したときや、自筆証書遺言であったとしても法務局での保管制度を利用したときには検認は不要になるのに、秘密証書遺言の場合には公証役場を利用したにもかかわらず検認手続きが必要となり、ご遺族に負担をかけることになります。
秘密証書遺言は他の遺言方式と共通している部分も多く、ミックスされた遺言方式であるとも言えなくありません。そのミックスされた部分はメリットもありますが、費用をかける割にはデメリットの部分も多く、あまり積極的におすすめできる遺言方式とは言えないという事が、現在において秘密証書遺言があまり利用されない理由なのではないでしょうか。

